主婦だって恋をする

成美の旅行の日が近づくにつれ一人じゃつらさが抱えきれなくなってきて、俺はは似た境遇の彼女に相談することを思いついた。



「涌井さん……ちょっと時間ある?」



講義が終わると同時に、前の方に座っていた彼女に話しかけた。



「また年上の彼女の相談?」


「……うん、まあ」


「いいよ、気になってたんだ。佐久間君の恋の行方」



……完全に面白がられてる。

でもそんな彼女の様子が、どんよりした俺の心を少しだけ軽くする。



「俺さ……最近やばいんだ。独占欲の塊みたい」



彼女の隣の椅子に腰掛け、机に伏せながら言った。



「ああ、懐かしい。私もそんな時期あった」



涌井さんは明るい調子で俺に共感する。


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