主婦だって恋をする
「誰かに……殺されたんですか?」
警察が来るってことはそういうことなんだろうと思った。
このあいだ会った涌井さんと付き合っていた男が逆恨みしたとか……
それとも旦那の浮気に気づいた奥さんが家まで押し掛けてきた……とか。
それこそテレビドラマのような勝手な空想をつくりあげていると、刑事が言った。
「いえ、現場の状況からほぼ自殺で間違いないでしょう。遺書はまだ、見つかってませんが……」
涌井さんが、自殺……?
そんなはずはない。
まだ親しくなって日が浅いけど、彼女は強い人だと感じていた。
失恋はしたけど、だからって自分の人生に見切りをつけるなんてことはしないだろう。
全く信じられないという様子の俺に、刑事は静かに言った
「最後に一緒にいたのは、あなたですね……?」