主婦だって恋をする
働きたい
いくらか落ち着きを取り戻した様子の慶が、ぽつりぽつりと事情を話してくれた。
「涌井さんっていう同い年の、女の子だったんだけど……」
「……うん」
「彼女、不倫してて……」
その言葉に少し驚きを感じつつ、私は静かに話の続きに耳を傾ける。
「その相手と別れるために、涌井さんの家に行って彼氏のフリさせられたんだ。
それで、思惑通り不倫相手は勘違いしてくれたんだけど……」
慶は当時の状況を思い出したのか、声を再び震わせる。
「涌井さんに、彼の愚痴に付き合えって言われて……断った。俺、本物の彼氏じゃないから慰められないし……」