主婦だって恋をする
はっとして窓の外を見ると、空が暗くなり始めていた。
どうしよう……そろそろ夕飯の支度――
「……私、帰らなきゃ」
「……だよな」
料理の手を取め、私が帰ることを予想していたかのようにそう呟いた彼。
急に現実に引き戻され、さっきまでの自分の行動を後悔した。
何やってんだろ私――…
今日初めて会った男の人の家に上がって、ご飯までご馳走になろうとして……
「送る……のはやめた方がいっか。一人で帰れる?」
コクンと頷く私。
夫に対する罪悪感とか自分の図々しさとか彼に対する申し訳なさとか……
色んな負の感情が押し寄せてきて、早くここから逃げ出したかった。
こたつの脇に畳んだ上着を羽織って静かに玄関に向かう。
彼も一緒に玄関まで来たけど私は黙ってドアノブに手を伸ばした。
「……最後に一つだけ、聞いてもいい?」