主婦だって恋をする
「慶……相談があるんだけど」
私が言うと、がばっと体を離した彼が表情を曇らせた。
「なに……?まさか、出て行くなんて言わないよね」
「違うわよ……私ね、働こうと思うんだけど」
「……なんで急に」
「ここの家賃とか光熱費って慶に全部負担してもらってるでしょう?買い物は私が払うときもあるけど……
よく考えたら慶は学生なんだし、おかしいかなって」
「そんなの気にしなくていいよ。家賃払ってるのは親だし」
「慶は、私が働くの反対……?」
乾ききっていない彼の涙を指で拭って瞳をのぞき込むと、慶はため息をついた。
「反対しても意味ないんでしょ?」