主婦だって恋をする

「――明日、面接してくれるって。良かった……慶、聞いてる?」


「……聞いてない」



放っておかれて不機嫌な俺は、膝を抱えてわざと成美に背を向けた。



「拗ねてるのね?」



彼女はいたずらっ子のように俺の顔をのぞく。

可愛いけど、そんなんじゃ騙されないぞ。



「……拗ねてるよ。ファミレスの採用係に負けたから」


「もう終わったから、さっきの続き……して?」



ちらりと成美を見た。

潤んだ瞳にうっすら上気する頬が、俺を欲しいと言っていた。


…そんな表情、ずるい。


じらされたのは俺なのに、まるでこっちが意地悪したみたいじゃないか。



「してくれないなら、私がする」


そう言った成美は、いきなり唇を押しつけてきて俺のズボンに手をかけた。



「やっぱずるい……成美」


「なにが……?」



その問いには答えずに、俺は目を閉じて快楽の波に身を委ねる。


成美が働き始めたら、こうやって触れ合う時間も減ってしまうのだろうか。

……寂しい。


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