主婦だって恋をする
以前見たとき抱いた優しそうな印象は、今は俺に対する敵意ですっかり刺々しいものに変わっていた。
妻である成美が出て行ったというのに彼の着ているスーツはパリッと良い形を保っていて、よれよれのスウェットで出てきた自分を少し恨んだ。
「……なんですか」
劣等感をごまかすように、彼を睨みながら訊いた。
「君は……この先どうするつもりなんだ?」
……なんだよ、その質問。
「別に先のことなんて考えてません。一日でも長く一緒にいたいとは思ってますけど」
「……そうか。じゃあ質問を変える」