主婦だって恋をする
外に出て、少し突き出した店の屋根の下に駆け込んだ。
風に煽られた雨の滴が時折私の体を冷やしたけれど、自分で自分を抱きしめるようにして腕をさすりながら慶が来るのを待った。
風は、急速に勢いを増してきて気の枝や道に捨てられた紙くずを巻き上げながら、街を走り抜ける。
「あ……慶」
バシャバシャと水たまりを踏みつけながらこちらに向かう慶を、少し遠くに見つけた。
ジーンズの裾にはすっかり水が染み込んでいて、急いで来てくれたのが伺えた。
「こっちよ」
私が手を上げて合図をした、その刹那――――