主婦だって恋をする
「――――成美!!」
大きな音とともに、彼女は看板の下敷きになった。
咄嗟にその金属の板を持ち上げると、見た目以上の重量を腕に感じて俺は血の気が引いた。
頼む、無事でいてくれ――……
なんとか看板をどかすことに成功すると、地面にうつ伏せに倒れていた成美がゆっくり顔を上げた。
「……慶、大丈、夫?」
うっすらと目を開けた成美は、こんな状況なのに自分のことよりまず俺の身を案じた。
「平気……それより、成美は…?」
意識があったことにほっと胸をなで下ろしながらも、あんな重い物にのしかかられてなんともない筈はない。
「少し…足が痛むわ……」