主婦だって恋をする
「姫島……雅志に…かけて…」
「わかった……ちょっと待って……」
俺は電話帳から素早くその名前を探し出し、電話をかけた。
相手が出るのを待つ間も成美の顔色が悪くなっていくのが分かって、俺は気が気じゃなかった。
『……もしもし、成美?』
大嫌いなその声に、俺は事実をありのまま告げなければならなかった。
「成美が……怪我をしました」
『……きみは』
「出血が多くて……今、救急車を呼んだところです」
『なんだって……!?』
そこまで話すと、成美が震える手を俺の方に伸ばしてきて貸して、と言った。