主婦だって恋をする
10分弱で到着した救急車には俺も同乗するように言われ、電話で話したよりも細かく時の状況を話した。
でも……その他の質問には答えられなかった。
成美の既往歴……
普段飲んでいる薬の種類……
そして、血液型……
その全ての問いには、即座に病院に駆けつけた成美の旦那が答えた。
『妻は、O型です……!』
成美には輸血の必要があったからその回答は必須だった。
成美が運び込まれた処置室の扉の前で立ち尽くす旦那。
俺はその後ろにある革張りの椅子に倒れ込むようにして座った。
……惨めだった。
俺は、彼女の血液型さえ……
知らなかったんだ。