主婦だって恋をする
二人の背中を見送ると、夫が小さな丸椅子に腰掛けて私の手を握った。
「傷、痛む……?」
私は足を動かして痛みの度合いを計ろうと試みたけど、うまくいかなかった。
「わからない。まだ、麻酔が効いてるのかも……」
私が言うと、夫は握っている私の手を自分の頬に当て、そのぬくもりを確かめてからこう言った。
「良かった……無事で」
「ごめんなさい、心配かけて……」
そう謝ってから、私はもう一人私を心配しているであろう人物を思い出した。
「ね……彼は?」
「さっきまで居たんだけど……成美が無事だって聞いて、帰った」
「そう……」
慶のことだから、自分を責めてしまうような気がする……
あの部屋で膝を抱える慶の姿を
想像して、胸が痛んだ。