主婦だって恋をする
「成美」
「……ん?」
「今日は難しいこと考えるの、やめな?」
私の心を見透かしたように夫が言った。
「そうね……そうする」
ぎこちなく微笑んで、私は点滴の刺さった自分の腕を見た。
「じゃあ、俺は帰るから」
腕時計を見て言った彼。
そう言えば、今何時頃なんだろう…?
私の視線に気づいて夫は文字盤を見せてくれた。
「もうすぐ23時。とりあえず着替えとか明日持ってくるつもりだけど、他に欲しい物があったらメールして。仕事、早めに切り上げてくるから」
「うん……ありがとう」
「じゃあな、おやすみ」
「おやすみなさい」
そうは言ったものの、さっきまで眠っていたので私の目は冴えてしまっていた。