主婦だって恋をする
「……ええ、そうなんです」
「やっぱり!よく似てると思ったんです」
嬉しそうな看護師さんに、私たちは愛想笑いでごまかした。
「それじゃ、また後で包帯代えに来ますね」
にぎやかな彼女が去って、病室は静まりかえった。
「……ごめんね、弟にして」
私が言うと、慶はううん、と首を横に振ってベッドの脇に座った。
慶の隣には私が家を出たときに荷物を入れてきた大きなトランクがあって……
彼も、お別れのつもりでここへ来たんだということが解った。