主婦だって恋をする
「え……?」
「姉の怪我はどうですかって聞かれて、だいぶ回復したって伝えたら安心してましたよ。
会っていかないんですか、って聞いたら、ぺこっと頭下げて帰っちゃったんですけど……」
「そう、ですか……」
夫の愛に包まれてしばらく穏やかだった私の気持ちに、さざ波が立った。
あの別れの後で、慶がまたここに来るなんて予想もしていなかったから……
きっと、私の怪我に責任を感じていたから、治ったかどうかを確認しに来ただけよね?
そんな堤防を心の中に設けて、私はその波を打ち消した。
でも、直後に運ばれてきた昼食はうまく喉を通ってくれなかった。