主婦だって恋をする
手首の包帯

卑怯なやり方だというのは分かっていた。


でも、どうしてももう一度……
成美に、逢いたい。


携帯を閉じて、タクシーの中から病院の入り口をじっと見つめる。


すると五分も経たないうちに焦った様子の彼女が出てきた。



「ここで、待ってて下さい」



運転手に言い残して車を降りた俺は、彼女の元へ走った。


自分に近づく影に気づいて顔を上げた彼女は、俺を見て驚き、固まった。



「……どうして……ここに?さっきのメールは……」


「ああ言えば病院抜け出してきてくれるって思ったから」


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