主婦だって恋をする
「こんなところに連れてきてどうするつもり……?」
タクシーを降りたのは、とあるラブホの前。
成美は訝しげに俺を見た。
「……ここに来たらやることは一つしかないでしょ」
再び彼女の手を引いて、強引に中へ入った。
部屋のキーを受け取ってエレベーターに乗ると、成美は観念したのか、黙ったまま下を向いていた。
……俺は、今から成美を抱くつもりだ。
でも、それは彼女をつなぎ止めるためじゃない。
あの事故で生まれてしまった二人の間の溝を肌で感じて……
もう戻れないって身体に解らせるために、抱くんだ。