主婦だって恋をする
恋のカタチ
……私は、拒めなかった。
部屋の真ん中に位置するベッドに身体を倒されてゆっくりキスを落とされると、久しぶりに触れる彼のぬくもりに鼻の奥がツンとなった。
「……泣いてるの?」
「……あなたこそ」
真上にある彼の瞳から落ちてくる滴。それが口の中に流れ込んできて、塩からくて切ない。
「俺のこと……好きだった?」
「……うん」
「………今は?」
好き、と言ってしまいそうになる自分を心の隅に追いやり、私は口をつぐむ。
たとえ今好きだとしても、その想いはこれから捨てなければならないのだ。
口にしたら、いけない。
私たちは、これでもう本当に……終わり、なのだから。
「――ごめん。最後にこんな質問、ナシだよな」
慶は寂しげに笑って、私の首元に顔を埋めた。