主婦だって恋をする
「元気でね」
私が言うと彼もそっちこそ、と返してくれた。
店を出た私は、大きく息を吸い込んで歩き出した。
帰ろう……家に。
「――――ただいま、成美」
「おかえりなさい、お仕事お疲れさま」
温かいご飯を作って、夫の帰りを待つ暮らし。
たまにはお風呂に一緒に入り、毎日同じベッドで眠る……その繰り返し。
平凡なその生活が、今は一番愛おしい。
これも、一つの恋のカタチ。
幸せは永遠とは思わないけれど、少しでも長く続けばいいと思う。
私たちはその夜のセックスで、せっかく買ってきた避妊具を使わなかった。
-end-