主婦だって恋をする
「……嫌なら、帰れ」
そう言えばいくら図々しい美香でも帰ると思った。
なのに……
美香は俺の首に腕を回して耳元で囁いた。
「それでも、いい……」
「……馬鹿か、お前」
「馬鹿だもん……」
潤んだ瞳で俺を見る、美香。
……それなら、遠慮なく性欲の処理をさせてもらおう。
俺は思いやりの欠片もないようなやり方で美香を抱き、その最中ずっと同じ名前を呼び続けた。
――――なるみ……と。
……本当に馬鹿なのは、俺の方かもしれない。