主婦だって恋をする
「…………っ」
なかなか上手い逃げ道が見つからずに言葉に詰まる。
でも、あることを私は思い出してぱっと顔を上げた。
「くつ……」
「……靴?」
「スニーカー……買ったの!」
玄関に戻って、現物を彼に見せる。
「珍しいね。いつも履かないじゃん?そういうの」
「たまにはこういうのもいいかなぁって!」
「ふうん……まぁいいんじゃない?」
……何とか切り抜けたわ。
ほっと胸を撫で下ろしていると、夫が思い出したように言った。
「そういえば、アレは買っといてくれた?」
アレ……?
何か頼まれていたっけ?
首を傾げる私に彼はぼそっと呟いた。
「……ゴムだよ、ゴム」