主婦だって恋をする
「買った……わよ」
そう答えるのと同時に、あのドラッグストアでのこと。そこで出会った店員のこと。そして彼の家に行ったこと……
忘れようとしていた全てが、鮮明に脳裏に蘇った。
「ありがと。買うの、恥ずかしかったんじゃない?」
「……解ってるなら頼まないでよ!!」
思わずムキになった私を見て夫は驚いていた。
「……ごめん。そんなに嫌だとは思わなくて」
私はばつが悪くなってうつむいた。
……こんなの、八つ当たりだ。
彼は悪くないのに。
「ううん、私こそ……大きな声出してごめんなさい」
二人の間に少しだけ流れた嫌な雰囲気を断ち切ろうと、私は笑顔を作って顔を上げた。
「カレー、食べよう?」
「ん……そうだな」
そう言って、私は冷めてしまったであろうカレーを温めるべく
キッチンに向かった。