主婦だって恋をする
「やっ………!!」
思わず声を上げると、夫が勘違いして微笑む。
「今のとこ、良かった?」
私の馬鹿……こんな時に何を考えてるのよ……
夫と寝ながら他の男の人を思うなんて……
私は罪滅ぼしにいつもより感じるフリをし、自分でも積極的に動いて行為に没頭した。
昼間買った避妊具は、二つ消費された。
「――――今日、いつもと違ったね」
ベッドの中で、私の髪を優しく手櫛で整えながら夫が言った。
「……そうかしら」
私は素知らぬ顔をつくって、そう答える。
「すごく、感じてるみたいだった」
その言葉の端には嬉しさが滲んでいて、私の胸に安堵の気持ちが広がる。
別の男を必死で頭から追い出そうとしていたことは、気づかれなかったみたいだ。
「だって……愛してるもの」
そう言って、彼の裸の胸にぴったりと体をくっつける。
私の居場所はここ……
この温もりを手放すなんて、できない……してはいけない……
夫はそんな私を可愛くてたまらないという風に抱き締め、髪に優しくキスをした。