主婦だって恋をする
二通の置き手紙
安くて薄いカーテンの隙間から洩れてくる朝の日差しで目を覚ますと、隣に美香は居なかった。
……先に起きたのか?
眠い目をこすりながら台所に行くと、ラップのかかった朝ご飯が用意してあった。
味噌汁とサラダと、俺好みの半熟の玉子焼き。
そしてその横に小さなメモがたたんであった。
『トーストだけは自分でやってね。
昨夜のエッチすごくむなしかったよ。
慶の気持ちは1ミリも私にないんだってやっとわかった。
今までしつこくしてごめんね?
なるみとかいうおばさんとせーぜー仲良くね。ばいばい』
今更ながら、美香にひどいことをしたなと思う。
でも、どうやらわかってくれたみたいで安心した。
俺は読み終わったそれをくしゃっと丸めて、ゴミ箱へ放り込んだ。