主婦だって恋をする
大学を出たものの、特にやることのない俺はまっすぐ自分のアパートに戻るしかなかった。
郵便受けにいくつか封筒が入ってて、それをまとめて引き抜くと一枚小さな紙が落ちた。
手帳を破り取ったようなその紙には、綺麗な字でこう書かれていた。
『靴を引き取りに来ましたが居ないようなので帰ります。
もう、来るつもりはないのであの靴は捨てて下さい。 成美』
……いつ、来たんだ?
俺が大学行ってる間?
ていうか成美って……こういう字、書くんだ。
俺はまるでストーカーみたいに
その紙の匂いを嗅いだ。
あぁ……あの人の匂いがする。
その香りは俺の胸を締め付け、彼女に会いたい想いはさらに募っていった。