主婦だって恋をする

いけない、そろそろ夕飯の買い物に行かなくちゃ。

昨日は彼に作らせちゃったし、今夜は張り切って凝ったものでも作ろうかな。


鞄を持って上着を羽織りながら玄関に降りて気がついた。


……いつもの靴がない。



「そうだ、壊れたのよね……」



靴箱から代わりの靴を出しながら、ふと疑問に思った。


私……壊れた方の靴はどうしたんだっけ?


スニーカーを買って、壊れた方の靴をその袋に入れ替えて……



「私…忘れてきた……?」



アパートに行く前は持っていたけれど、出るときは持っていなかった。



「でも別に、いいわよね……」



靴は壊れてるし、あそこへはもう二度と行くつもりはないんだから。


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