主婦だって恋をする
来店した夫婦
店にいた最後の客を見送ると、俺はバイトの制服であるエプロンのポケットに手を突っ込んだ。
そこには小さく折り畳んだ紙が
一枚入っている。
成美さんが置いていった、あの書き置き……
ポケットの中でそれを弄びながら、俺は未だに会えない彼女に思いを馳せた。
手紙を残す位なんだからあの人も俺に会いたいはず……
そう思ったのにこの一週間、何もなかった。
やっぱ人妻落とすなんて無理なのかなー……
紙を握る手に力を込めたとき、自動ドアが開いて一組の男女が入ってきた。
「いらっしゃいませー……」
何気なく目で追いながらそう言うと、女の方と目が合った。
「……な、るみ……さん……」
……会えた。