主婦だって恋をする
彼女に会いたい
「ありがとうございましたー」
またのお越しを…は、面倒だから心の中だけで呟く。
また、暇になった。
掃除でもするかとモップを出してみたけど、少し床を磨いてすぐに飽きた。
…さっきの主婦可愛かったなー。やっぱ連絡先聞いとけば良かった。
結婚指輪して年だって20代後半か30代ぽかったのに、ゴム買うだけであんなにうろたえるか?普通。
「……ふっ」
赤くなった彼女の顔を思い出すと、つい笑みがこぼれる。
「……何一人で笑ってんだよ?気持ち悪いぞ、佐久間」
「あ、店長……メシ終わったんすか?」
「あぁ。あそこのラーメン屋美味くなかった」
「だから言ったじゃないですか。俺が前に行ったときも……」
なんてくだらない話をしていると、不意に休憩室から電話の音が聞こえた。
「珍しいなこんな時間に……クレームだったら面倒くせ」
ぶつぶつ言いながら小走りで向かう店長。
クレームだったら面白そうだと俺も後からついていく。