主婦だって恋をする

「…………んっ……」



降ってきたのは少し急ぐようなキス。

……そんなにも私を抱きたかったの?

私は胸の内で彼に問いかける。


服を脱がせる手つきも、なんだか初めての行為のようにじれったい。


やっとたどり着いた私の胸の膨らみに触れながら夫は言った。



「……ごめん。加減、できないかも」



その言葉通りに少し乱暴な行為だった。

いつもは私の反応を見ながら優しく触れてくる手が、今日は強引に私の身体を這う。


ベッドのスプリングが軋む度に私も声を上げたけど、本当はちっとも集中できなかった。


ドレッサーの上に置いたままのあの紙をしまった小箱……

それに“彼”が乗り移って、こちらを見ているような気がしたから……


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