主婦だって恋をする
「……ここまできて何やってんの」
そんな彼女の手を握って顔を覗き込むと、困ったような瞳とぶつかった。
「……なるみさ…」
言いかけた瞬間、ピーーとやかんが沸騰を知らせる。
あーあ、良いところだったのに。
俺が席を立つと、成美さんはため息をついて胸に手を当てていた。
早く味わいたいな……成美さんの、全部。
「どーぞ」
コトン、とマグカップをテーブルに置く。
「ありがとう」
まだ熱いのに、すぐに口を付けた成美さん。
案の定うまく飲めなくてむせてしまった。
「んな慌てなくたって……」
「ごほっ…だって……緊張して、喉カラカラなの……」
本当に年上なのかと疑いたくなるほどいちいち可愛い成美さん。
まだ彼女がここへ来て数分なのに、俺の心は彼女の仕草一つ一つにいちいち反応して次第に熱くなる。