主婦だって恋をする
「――――申し訳ございません!!」
扉を開けると、店長が大声で謝ってた。
お、やっぱクレーム?
「はい!本人も反省して……」
いきなりこっちを向いた店長と目が合う。
…と、いうより。俺のこと、睨んでね?
受話器を押さえながら店長が言った。
「お前も謝れ!俺がいないとき店に来たお客さんだ。
……かなり怒ってるぞ」
それってもしかして……
「…もしもし、あのー先ほどは大変申し訳……」
『あ…あなたっ!!!』
この可愛い声は、やっぱり。
思わず笑ってしまった俺を店長が不思議そうに見ている。
「あの、さっきのお詫びしたいんでもう一度店に来てもらえますか?」
『…………………』
“何言ってんだおまえ”
店長が口パクで俺に問いかける。
『わ……わかったわ』
「じゃ16時に店の前で」
受話器を置いた俺はかなり浮かれていた。
……あの人また会える。
次はどんな風にからかおうか?
もう一度真っ赤になった彼女に睨まれたいなんて、俺って意外にMなのかも。