主婦だって恋をする
二つの躰
朝、夫を送り出してからバスルームに向かった私。
熱めのシャワーで寝汗を流し、頭のてっぺんからから爪先まで丹念に洗った。
濡れた髪を丁寧にブローして普段使わない化粧品たちを引っ張り出し、鏡に向かった。
いつもは日焼け止め代わりに肌色の化粧下地をさっと塗り、眉毛を書いて、おしまい。
それが今日の私と来たら、頬には少女みたいな色のチークをはたき、マスカラで太く長くなった睫毛をしばたかせ、口紅をティッシュで押さえて微笑んでいる。
長いこと忘れていたけど……
デートの支度って、こんなに楽しかったんだわ。
クローゼットの中からお気に入りのワンピースを選び、鏡の前でくるりと回ってみた。
……うん、良し。