主婦だって恋をする
「…………俺も」
彼は私のおでこに口づけ、私のワンピースのボタンに手を掛ける。
ひとつひとつ服を剥がされていくのと同時に、心まで裸にされていくような気がして、恥ずかしかった。
「……隠さないでよ」
「だ、だって……部屋が明るすぎる」
そう言っても許してもらえず、彼は身体を縮める私の手を掴んで、あちこちにキスを落としていく。
その甘い刺激は毒のように全身に回り、私は気がつくと抵抗することを止めていた。
「……いれていい?」
「うん…………あ」
絨毯が引いてあるとはいえ、床でするのなんて初めてだった。
だけどなんら不都合はなく、愛し合うのには身体が二つあれば場所なんて関係ないことを知った。
「成美さん……名前、呼んで?」
「………け、い……」
「うん、もっと……」
「…ん…慶……慶っ…」
名前って、不思議……
呼ぶだけで、こんなに恋を引き立てる。
彼も途中から私を“成美さん”ではなく、“成美”と呼び捨てにした。
その度に私の感覚は刺激され、瞳からは涙が流れ、喉の奥からはまるで私じゃないような高い声が発せられた。