主婦だって恋をする
「……大丈夫。当日じゃなくていいから。成美を困らせたいわけじゃないし」
「うん……ありがとう」
俺は成美と一緒に居られればそれでいい。成美の家庭を壊そうなんて思いは、微塵もない。
だから誕生日を自分のために空けて欲しいなんてわがままは、言わない。
「ねぇ、慶はいつなの?誕生日」
「俺は、12月4日」
「そのときは、私にもお祝いさせてね」
「ん、約束」
まだずいぶん先のことだけど、俺たちは指切りで約束した。
この約束が色褪せる日なんて来るわけがないと、俺はその時思っていた。