主婦だって恋をする
俺たちはそれから月曜日に何回か会い、抱き合ったり映画のDVDを見たり、時には並んでキッチンに立ったりして二人の時間を楽しんでいた。
大学は休みに入っていたから俺はバイトをしているか、成美に会っているか、成美のことを考えているか……
そんな生活だった。
「――――じゃあ、帰るね」
夕暮れが近づくと成美の表情が曇ってきて、帰るときにはいつも泣きそうな顔になる。
「気をつけて。またね」
玄関までしか見送れないのが歯がゆくて、いつもドアに手をかける成美を振り向かせて、抱きしめて、ぬくもりを確かめる。
また会えるって解っているのに離したくない、恋の病の初期症状。
それは痛くて、苦しくて……そしてとても愛おしい。