主婦だって恋をする
結局最後には手放してしまう彼女のぬくもり。
それを失くした後の俺はひどい。
成美が座っていた床や、二人でじゃれ合ったベッドに寝ころんで、成美のことを思い出す作業に専念する。
一つ一つの表情や仕草を思い起こし、感傷にふけっているといつのまにか夜になる。
「……私も、同じよ」
成美にそのことを話すと、自分もそうだと言った。
「こんな風に髪を撫でてくれたな、とか今日のキスは一緒に食べたパスタのバジルの香りがしたな、とか……
そんなことばかり考えてると、いつのまにか時間が経つわ」
俺が成美を想っているときに、成美も俺を想ってくれている……それは、素直に嬉しい。
でも、絶対に時間の長さでは俺が勝っていると思う。