主婦だって恋をする
理想の夫婦
慶とメールをするようになってまだ日が浅い頃は、夫が帰宅するまでの間だけ返信するようにしていた。
だけど、回を重ねるごとに大胆になってきた私は、夫が家に居ても、彼がお風呂に入っている間やリビングでくつろいでいるときにキッチンに隠れてメールを打った。
「成美~、タオルがない」
今夜もそうしていたら、バスルームから夫の声。
「すぐ持って行くわ」
パチンと携帯を閉じ、私はキッチンから出た。
「ここに置いておくわね」
曇りガラスの向こうに声をかけると、扉が開いて泡だらけの夫が顔を出した。
「成美も入らない?」
「え……一緒に?」
「……うん」
夫と一緒にお風呂に入るなんて、恋人同士の時にしたきり。
明るいところで身体を見られるのが気恥ずかしくて、私は首を横に振った。