主婦だって恋をする

「まあ私も丸くなったってことよ」



照れたように言う祥子は幸せそうで、私も心から二人の婚約を喜んだ。



「――――成美、専業主婦って暇じゃない?」



美味しいコース料理とワインを楽しんでいると、祥子が唐突に言った。



「……そうでもないわよ?家事って手抜きもできるけどちゃんとやるときりがないし」



……でも、大好きな男の子に会いに行く時間はあるわ。


少し酔いの回った頭の中で私は呟いた。



「偉いなぁ、成美は。ちゃんと家を守ってるって感じ」


「その表現、古くない?」



クスクスと笑っていると、夫が急に口を開いた。



「でもほんと、成美にはいつも感謝してるよ」



その妙にしみじみした物言いに、私も祥子も宇津木さんも、目を見開いた。


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