主婦だって恋をする

「なに言ってるのよ、急に……」



夫の肩を叩いて笑うと、彼は言った。



「急じゃなくてさ、いつもそう思ってるよ」



そう言って私に微笑んだ。



「聡、よく見ておこう?これが理想の夫婦ってやつよ」



祥子が私たち夫婦を冷やかすように言った。



「やめてよ、この人きっと酔ってるのよ」



私と祥子は笑い合ったけど、宇津木さんは目を細めて感慨深げに呟く。



「いいなぁ……本当に姫島さんたち、幸せそう」


「お前らも幸せになるんだろ?いいか、夫婦ってのはな……」



面倒な講釈が始まりそうだと察知した祥子は、聞き役を宇津木さんだけに任せて私に向き直った。



「成美、そろそろ子どもは?」


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