主婦だって恋をする
「…………!!」
そう言われて、不覚にも頬が赤くなった。
なんで、化粧直してきたってわかるのよ……!?
「ちがっ…!これはただ身だしなみを整えただけで…っ」
「あー、さっきは鼻てかてかだったもんねぇ」
こいつ……私の神経を逆撫ですること以外言えないみたいね。
「帰ります!二度と私に関わらないで!」
くるっと彼に背を向け、怒りに任せて強く一歩を踏み出した私。
するとボキリと不吉な音がして
、私の体のバランスが崩れた。
やばい、転ぶっ……!
反射的に目をつぶったけど、どこにも痛みはなかった。
……………?
「あーあ、高そうな靴なのに」
その声に目を開けると、私の靴の右足のヒールが見事に折れていた。
そして……
「……は…離してっ!」
後ろから抱きしめるように、彼が私の体を支えていた。