主婦だって恋をする
「――――これ、本当に慶が全部作ったの?」
カラフルな野菜のマリネ、オニオングラタンスープ、そしてパエリアがフライパンごと乗った狭いこたつ用テーブルを見て、成美が目を丸くした。
「あとで、ケーキもね」
キッチンからグラスとシャンパンを持ってきて、俺も席に着いた。
「誕生日おめでと、成美」
チン、とグラスを合わせて俺たちは乾杯した。
成美は料理を食べる度においしい、おいしいと言って俺を誉めた。
そんな彼女が可愛くて、食事中にも関わらず俺は何度もキスをした。
ときどき、口移しにシャンパンの交換も。
「好きよ、慶……」
少し酔った成美はいつもはあまり言わないそんな台詞を口にして、俺の恋心をさらに育てるから困った。