主婦だって恋をする
有休と花束

慶とのお祝いが印象深過ぎて、私は自分の誕生日が終わったものだとうっかり勘違いしていた。


その日は誕生日ということを特に意識せず、普段通りに目を覚ますと隣に夫が居なかった。


私、寝坊した――…!?


時計を見ると七時を少し過ぎたところ。

目覚ましはかけていないけど、いつもなら六時前には自然に起きられるのに……


ばたばたと寝室から出てリビングに行くと、パジャマのままソファでゆっくり新聞を読む夫が居た。



「おはよ、成美」


「あなた、会社は……?」


「休み」



彼の読んでいる新聞の日付を見て、首を傾げる。



「20日…今年は春分の日は21日よね?」


「有休、取った」


「有休?どうして……」



夫は新聞を畳んでテーブルに置くと、私の方を振り返って言った。



「誕生日、おめでとう」


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