主婦だって恋をする
「……成美、食べないの?」
軽めの昼食にと入ったカフェで、私はパスタに差したフォークを無意味にくるくると回していた。
「ううん、食べる……」
無理矢理口の中に押し込んで咀嚼したけれど、味なんて全然わからない。
……さっきの映画は最悪の結末だった。
誰にも認めてもらえないその関係は行き場を失い、二人は心中という形で……愛を貫いたのだ。
「なにも死ぬことはないのにな」
私の心を見透かしたように夫が言った。
こういう愛について彼がどう思うのか、私は訊いてみたくなった。
「もし……あなたが彼の立場だったら、どうする?」
夫はしばらく考えてからこう言った。
「気持ちが冷めるまで待つ……かなぁ。たぶん、ああやって燃え上がるのは一時的なものだから」