主婦だって恋をする
「一緒にメシ食べてくれるなら離してあげる」
「……食べません!」
拒否すると、ますます強く腕に閉じこめられる。
「……じゃあ、このままね」
「…っ……わかったわよ」
力ずくでは勝てそうもないし、やけくそで彼に従うことに決めた。
今日は、運が悪いんだきっと……
「…やった!でもメシの前に、靴屋だね」
私の足元を見た彼が苦笑する。
「この辺に靴屋なんかあったかしら…」
「スニーカーで良ければあそこの店にあるよ」
彼が指さしたのは少し先にある
スポーツ用品店。
「この際何でもいいわ……」
行きましょう、と言って二、三歩進んでみたものの。
折れたヒールをかばって歩くのは思いの外難しくて、お店に着くまでにかなりの時間を要しそうだった。
「……はい」
突然彼がしゃがんで、私に背中を向ける。
「はい……って何よ?」
「店までおぶってく」