主婦だって恋をする
「プレゼント、こんなのしか思いつかなくて」
「ありがとう。すごく綺麗ね……それにいい香り」
バラ、百合、かすみ草……そしてもう一種類、名前を知らない花があった。
「この花は、なんていうのかしら」
「シンビジウム。花言葉が良いから入れてもらったんだ」
「どんな花言葉なの?」
「それは……恥ずかしいから、いい」
「えーっ…気になるじゃない」
問い詰めたけれど結局彼は口を割らず、さあケーキでも食べるか、と 話をはぐらかした。
後でインターネットで調べてみると、シンビジウムの花言葉は
“飾らない心”“素朴”
と書いてあった。
……いい言葉だとは思うけど、そんなに照れること?
不思議に思いながらもその花束が気に入った私は、花瓶に移して玄関の目立つところに置いた。
二度目の誕生日もそれなりにいい日だったと思う。
ただ……どうしてもあの映画の二人が頭から離れなかった。