主婦だって恋をする
「べ…別にいいわよ!恥ずかしいし、私…重いし!」
「そっか、……うん、確かに軽そうには見えないもんね」
「………っ!!」
確かに最近太ったけど!!
女性に対してそんなはっきり言わなくたって……
「うーそ。怒んなって……ほら、手貸して」
差し出された手を振り払うこともできたけど……
何故だか私は素直に自分の手を重ねた。
――壊れた靴のせいでひょこひょこ歩く私。
そのペースに合わせるように彼もゆっくり歩く。
……なんか調子狂うんだけど。
端から見たら私たち、どんな風に見えるのかな?
そう思って通り過ぎるお店の
ガラスに映った自分たちを見ると
『靴が壊れた主婦を優しい若者が親切心で靴屋まで連れていく』
そんな図にしか見えなくて……
ほんの少しだけ、がっかりした。