主婦だって恋をする

その翌日も夫の帰りは遅かった。



『同僚と飲んで帰るから夕飯は要らない。遅くなるから成美は先に寝てて』



夕方そんな電話があったから、今日は広いベッドに一人で入った。

だけどなかなか寝付けなくて、気が付くと深夜一時過ぎを回っていた。


それにしても、遅いな……


何度目か分からない寝返りを打って目を閉じると、玄関の方で物音がした。



「なるみー!!」



深夜だというのに大声で名前を呼ばれ、私は慌てて布団から出た。



「どうしたの…?あまり大きな声出さないで……」



玄関の夫はまだ靴も履いたまま、無表情で立っていた。



「来た……可愛い俺の成美…」



そう言っていきなり抱きついてきた彼は、かなりお酒臭かった。


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