主婦だって恋をする

寝室からは何も音がしない。


……寝たのかしら?


足音を立てずに寝室の前まで行くと、ちょうど部屋から出てきた夫と鉢合わせた。



「……眠れた?」



彼に聞かれた私は黙って首を横に振る。



「ベッド、使って良いよ。俺はシャワー浴びてくるから」



目を合わせることはできなかったから、どんな表情かはわからなかったけど……

声は、いつもの優しいあの人だった。


ベッドに潜り込むと彼の温もりが残ってて……それが心地よくて私はすぐに眠りに落ちた。


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