Must not say.
でもそれがどんなことだったのか、

全く思い出せない。


記憶に霧がかかったようにモヤモヤして

じれったい。


何故思い出せないのかもわからず、

イライラが募るばかり。




ふと気が付くと、数学の授業が始まっていた。


教科書もノートも出さず、

記憶と戦っていた私。


周りには、

数学の難しい公式と戦うクラスメート。



まるで私は別の世界に居るんじゃないかと思うほど浮いていた。



教室内を見回してみると、

別世界の住人が、もう一人居た。


・・・彼だった。


同じクラスだったことをたった今知る。

そういえば、名前も知らなかったような・・・・・・。


不意に、彼と目が合う。
・・・とりあえず、笑って見せる。

同じクラスだったことと、名前も知らなかったことを悟られないように・・・


とびっきりの笑顔で。
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