Must not say.
勢いよく階段を下りる。



ぶつかっても謝っている時間などなかった。

ただひたすら、走る。





「ハァ、・・・・・・いっ、居ない・・・」



第二のお気に入りの場所。

中庭にある大きな桜の木の下。



風で枝が揺れ、まだ少し残っている桜の花びらがヒラヒラと宙を舞う。


ちらちらと見える太陽の光りも好き。




「あーぁ、見つかっちゃった・・・」


桜の木の陰からひょこっと顔を出し、悔しそうな表情を浮かべる彼。


見つけられたことが嬉しくて、

小さく微笑んだ。




「あ、笑った」

そう言って彼も小さく微笑む。





こんな風に笑う彼も、

いつか離れていくのだろうか・・・。
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